院長の佐野です。

「脳は、物事を観察し、分析し、そして新しいものを作り出す場所だ。」
— レオナルド・ダ・ヴィンチ

この言葉は、私の治療哲学に深く影響を与えました。
人間の身体は単なる“構造物”ではなく、観察し、変化し、再創造する知性そのもの
私の臨床は、常にこの「脳の創造性」を信じるところから始まります。

線維筋痛症の患者さんとの出会いが、私の治療観を変えた

私はこれまで、クラニアル(頭蓋仙骨療法)を軸に身体の痛みや不調に向き合ってきました。
しかし、どうしても届かない症状がありました。線維筋痛症の方々です。
検査では「異常なし」と言われても、痛みや倦怠感は確かに存在する。
私はその根源が、筋肉や骨格ではなく、脳、特に感情と記憶を司る大脳辺縁系にあるのではないかと感じ始めました。

「脳の中をどう治療するのか?」という問い

大脳辺縁系に原因があるとわかっていても、どうアプローチすれば良いのか。
その答えを探す中で、私は量子力学と意識の関係に出会いました。
観察によって粒子の状態が変わる——意識の焦点が現実を変えるという考え方です。

もし意識の力で脳の深部に“安全”の情報を届けられれば、
扁桃体の過剰興奮を鎮め、身体の緊張反応をリセットできるのではないか?
その仮説のもとに、私は新しい治療プロトコルを構築しました。

※ ここで言う「量子」とは、非物理的なスピリチュアル概念ではなく、
意識と生理反応の関係を説明するための“比喩”として用いています。

「体調不良の9割は脳が関係している」

痛みや不調は、脳が“過去のストレスや記憶”を守るために出している防御反応です。
それを解き放つためには、脳の安心スイッチを入れる必要があります。
私が行う施術は、筋骨格・内臓・自律神経だけでなく、大脳辺縁系と意識の調和を目的としています。

治すのではなく、からだが自ら戻る瞬間を導く
それが、私の治療家としての原点であり、これからも追求し続けるテーマです。

当院の治療・検査の哲学

オステオパシーの原則に基づき、からだ全体はひとつの連続したシステムという前提で評価・施術を行います。
骨・筋膜・内臓・神経・体液・情動の「動き」と「静けさ」を感じ取り、からだが自らバランスを取り戻すことをうながします。

機能障害(Dysfonction)の定義

構造の変形だけでなく、可動性・弾力・滑走・流動性・活力の喪失として触れられる状態を指します。部位によっては、

  • 組織の硬さ・密度の上昇(筋膜の緊張・線維化)
  • 渦巻くような緊張(スパイラルテンション)
  • 体液の滞り(静脈・リンパ・脳脊髄液の流れ低下)
  • エネルギー的な停滞(触れると重い・熱/冷の偏り)

施術者は“どこを正すか”を先に決めつけず、触れた手が教えてくれる優先順位に合わせてアプローチします。

Still Point(静止点)とは

からだの自律的なリズム(呼吸・循環・脳脊髄液など)が一度“静けさ”に触れ、再編成(リオーガナイズ)が起こる瞬間のこと。
施術者は「操作」するのではなく、からだが戻るタイミングを見届ける観察者であることを重視します。

※ いわゆるリラクゼーションとは異なり、組織の調和が深部から整うときに現れます。

使用する主なアプローチ

① 機能テクニック(Functional)

組織が最も楽に動ける方向へ誘導し、小さく柔らかな力で緊張を解かせます。

② 構造テクニック(Structural)

関節モビライゼーションや筋エネルギー法など、安全域の中で正確に可動性を回復します。

③ 流体・エネルギー(Fluid/Energetic)

体液の流れ・圧リズム・温冷の偏りなどを整え、組織の“活力”を引き出します。

脳の半球間連携をみるキネシオロジー検査

簡便な筋反射テストで、右脳—左脳のコミュニケーション(脳梁)が十分に働いているかを確認します。
クロスクロール(左右交互運動)や軽い前頭部リコイルなどを組み合わせ、「今いちばん整えるべき階層」を特定します。

  • 交差位での筋力が落ちる:半球間の切替が弱いサイン
  • 同側位での反応低下:姿勢・内臓の影響を示唆

※ 医学的診断ではなく、施術の優先順位を決めるための身体反応テストです。

一次スフィア(Primary Sphere)の判定

頭蓋・胸郭・骨盤(+横隔膜・骨盤底・頭蓋底)の三つの空間圧のうち、どこが最も過緊張かを触診で比較します。
一次スフィアから施術を始めることで、最小刺激で全身に連鎖的な変化を引き出します。

  • 胸郭>骨盤:呼吸圧の偏りが体幹支持を低下
  • 骨盤>頭蓋:骨盤底の緊張が循環・姿勢に影響
  • 頭蓋>胸郭:前頭部緊張が自律神経の切替を妨げる

抑制テスト(Inhibition)で“順番”を見極める

ある部位に手を軽く置いたとき、別の部位の硬さや反応がどう変わるかを観察。
反応が最も改善する組合せ=いま優先して整えるべき層と判断します。

これにより、脳(C)・腸(I)・骨盤(P)のどこから着手すべきかを、からだ自身の反応で決められます。

C-I-P軸(脳・腸・骨盤)との統合

当院はフランス語の頭文字でC(Cerveau=脳)・I(Intestin=腸)・P(Pelvis=骨盤)を重視します。
迷走神経・横隔膜/骨盤底・体液循環のリズムを同時に整え、自律神経と姿勢・内臓の同期を取り戻します。

  • 脳:前頭部の解放と頭蓋・頸部の調律で「安心の入力」を増やす
  • 腸:内臓の可動性と血流を回復し、情動と免疫の安定に寄与
  • 骨盤:横隔膜×骨盤底の同期で呼吸圧と循環を底上げ

※ 本ページの内容は当院の施術・検査哲学の説明です。医療行為・診断・治療を行うものではありません。
必要に応じて医療機関での検査・診断を推奨し、併用を前提に安全第一でサポートします。